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嫌な感じがする波乗りポイントで海の中に引きずり込もうとしてきたあの世の者達から守ってくれた木製の数珠

 2015.07.04     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 530

俺、昔からサーフィンにはまってて平日でも時間があれば海に行っている。

今から5年ほど前、すごい勢いで波乗りにはまった時期があって、その頃は定職にも就かず、ひたすら毎日海にいっていた。

ある日、久しぶりに俺に波乗りを教えてくれた先輩から連絡があって夜二人で飲みに行った。

先輩は相変わらずで、最近体験したことを面白おかしく語ってくれた。

 

先輩「そういや最近○○(ポイント名)で入ったか?」

俺「いや、あそこ最近あんまり良くないんでいってないっすよ」

先輩「俺、一昨日そこで入ったんだが、なんか気持ち悪りーかんじがすんだよな。波待ちしてて嫌な感じがしてすぐあがったんだけどさ。お前、もし入るんなら気をつけろよ…。」

俺「……………ギャグっすか?」

先輩「…うん」

そこで二人で爆笑。

俺はこのときの話は、すぐに忘れてしまっていた。

 

数日後、当時付き合っていた女が仕事が休みだったので、一緒に雑貨屋に行った。

買い物に付き合わされた。その子は、ネックレスが欲しいらしくて、いろいろ悩みながら選んでいた。

俺は、暇だったんで店の中をぶらぶらと眺めていた。

ふとひとつのブレス?に目が留まった。

それはブレスというより、「数珠みたいなもの」で色々な文字が刻まれた木製の珠が革紐に通してあるものだった。

値段も安かったし、日雇いのバイトで金が少しあったんでそれを買って左足首につけてみた。

「また変なの買ってるし…。」
…言われるだろうと思ってた事を言われた。

彼女は、お気に入りのものがなかったらしく、俺達は店を出た。その後二人で飯を食っていたら、連れから連絡があった。

明日の早朝、5時に集合。海の誘いだった。

 

翌朝5時、連れが来た。こいつとは随分前からよく一緒に海にいっている。

荷物は全部車の中に乗せっぱなしなんで、水だけタンクにいれて速攻出発した。

季節は7月の終わりくらいだったと思う。5時とはいえ、まだ少しだけ薄暗い。

「今朝は、風がねーし、面はよさそうだな。」
「あとは、うねりだな。」
俺達二人はそんな話をしながら、ポイントを見て回った。

しかし、どこもダメだった。

サイズがない。膝程度のウネリが入ってきているところがほとんどで、俺達は正直がっかりした。

そんなとき、ふと助手席のS(その連れ)が、
「○○に行ってみっか?」

Sが言ったそのポイントこそ、数日前、先輩が言っていた場所だった。

「…そうすっか。」

しばらく考えた後、俺もそう答えた。先輩の話はネタだと思ったからだ。

しばらくして、俺達はそのポイントについた。

波のサイズは腰はあった。風はまったくなく、岸から沖を見ると、霞がかっていた。

正直俺はこの時、嫌な感じがあった。だけど、コンディション的には最高。

誘惑に耐え切れず、俺もSの後を追って、すぐに沖に出た。

そのポイントは向かって左に堤防があり、堤防の突端からうねりが左方向(グーフィー)に崩れる。

堤防の先は川の河口になっていて、沖への流れ(カレント)が強いため、俺達は気をつけながら最高のコンディションでグーフィーの波を満喫した。

しばらくして、俺はSの姿が見えないことに気がついた。

というより、半径2~3m以上向こうがまったく見えない。

 

深い霧がかかっていた。

「やべぇな…。いっぺんあがるか…。」

そう思い始めた時にはもう遅かった。どっちが岸で、どっちが沖なのか分からない。

俺は、波待ちしながら途方にくれていた。

ふと霧がかった向こうで、手招きしているのが見えた。

Sがあんなとこにいる。

俺は、そこに向かってパドルしはじめた。自分の漕ぐ水の音しか聞こえない。

辺りはひたすら静かだった。

パドルしながらふと気づいた。手招きしているのがやけに離れていっている気がする。

いくらパドルしても追いつけない。

それに、なにか妙にその手が白い。毎日海に行くSの真っ黒な腕とは正反対だ。っていうか…あれなんだ?

そう思ったとき、ドンって勢いでいきなり海底に引きずり込まれた。

最初、何が起こったか分からなかった。ただ、鼻や口に水が入って急激に苦しくなり、それで俺が海中にいるのが分かった。

波に巻かれた時は、冷静に海面に上がる。パニくると体力を消耗してやばいから。

俺もびっくりしたが、普通に上がろうとした。

でも上がれない。それどころか更に沈んでいこうとしている。なんだこれ?

ふと海底を見た。そこで初めて、全身が凍りつくくらいの恐怖を感じた。

最初は、海底にワカメがゆらいでいるのかと思った。
白いワカメ?あるのかそんなん?

 

手だった。

海底一面にすごい数の手が一斉に伸びて、俺の左足を底に引きずり込もうとしている。

 

パニックだった。死がこれほど身近に感じたことはなかった。

意識がなくなりそうな感覚がきた。最後に思いっきり左足をひっぱった。

バシッと何かではじかれたような感覚があった。その瞬間、俺の体が海面に向かって浮き始めた。

助かった。

 

上にあがると思いっきりむせて、げほげほ言いながら周りを見渡した。

霧はどこにもなく、辺りはひたすら静かだった。

波はサイズも下がり、日は少し高く上っていた。

俺は思いっきり沖にでていたみたいで、岸に戻るのが辛かった。

岸にもどって、崩れるように腰を下ろした。あれは何だったんだ一体。

ふと左足を見ると、全身が再び硬直するのが分かった。

左足は、真っ白に鬱血していて、手形のような青あざが無数についていた。

そしてそこにあるはずの、数日前に買ってつけた数珠が消えていた。

俺は今でも、そのポイントに入るときには、数珠をつける。そして…

台風で海が大荒れのときよりも静かで風が無く、薄暗い朝や夕方に入るときのほうが怖い。

 

 

PS

Sは、俺の姿が見えないから先に上がったのかと思ったらしく車にいた。

のん気に缶コーヒーを片手に一服していて、俺を見るなり、
「あれ?まだ入ってたんか?おつかれ~」
などと言いおった。

頭にきて、奴のパンツを投げ捨てた。

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