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霊能者と呼ばれている北海道在住の45歳女性みちかさん

この記事の所要時間: 643

親戚に霊能者と呼ばれている人がいる。

彼女の地元ではそれなりに有名で、本名とは別に、近所の人は彼女のことを「みちか」さんと呼んでいた。

なんでも”身近”と”未知か”、”道か”が混ざっていて、本人曰くいい感じなので周りにそう呼ばしているらしい。

今現在北海道のM別におり、45歳である。

彼女は、昔東京で不動産会社の事務をしていたのだが、ふとしたきっかけでやめたらしい。

その原因は今でも話してくれない。

旦那さんとはその時期別れて、子供も旦那さんが引き取っている。

僕には元々霊感などないし、霊も怖いので「彼女」すなわち「みちかさん」と話すのはあまり好きじゃなかった。

初めて話したのは、小学校4年の時、僕が京都に住んでいたときだ。

その時は丁度、家族で父親が昔住んでいた北海道を訪ねていた。

 

「あんた、家の近くにお墓のある公園があるでしょ?」

えっ?と僕は思った。

「むやみに拝んだらだめだよ。霊がついてくるからね。」

初対面でいきなりこんなことを言われた。

そもそも何故彼女がそんなことを知っているかがわからなかった。

ただ、当時友達の間でほんの一時期、拝むのが流行って、僕も真似していたのは確かだった。両親すら知らない事だ。

それ以来、拝むのはやめた。

 

2回目に会ったのは、東京でおじいちゃんの葬式があったときだ。

みちかさんは北海道から葬式に参加するために来ていた。

後から知ったのだが、その時はすでに霊能者まがいのことを地元でやっていたらしい。

その時はこう言われた。

「あんた苦労するよ。うん。」

「でも、あんたの亡くなったおばあちゃんが、ええ人だからね。守ってくれてるのが救い。あんたの父親も苦労人だけど、そのおばあちゃん、つまりあんたの父親のお母さんだけど、その力があるから、今は結構幸せにやってるでしょ?」

僕のおばあちゃんは、僕が生まれて2~3年後に亡くなった。

おばあちゃんは、僕をとてもかわいがったらしい。

 

それにしても、僕はその時中学一年生だったが、またもや嫌な感じになった。

なんでこんなことをこの人は言うのだろう。

そう思っていたのだった。

今振り返ると僕の人生は特別不幸というわけでもないが、とりたてて幸せというわけではなかった。

当たっていないわけでもない。

3回目に会ったのは、おじいちゃんの何回忌かの時だ。

小さい頃からみちかさんには嫌な感じを受けていた僕は、話さないようにしていたのだが、なんとなく目があって話さなければいけない雰囲気になってしまった。

 

「あら、元気?」

初めてそう聞かれて僕はちょっとびっくりした。

「別に会うたびに小言言いたいわけじゃないのよ。ただ気になっただけだからさ。」
と彼女は笑って言った。

「霊能者みたいな事しているんですよね?」

僕は思い切って彼女に聞いてみた。

「まあね。といっても頼まれた時だけ。普通は自分からは何も言わないのよ。そんなにわかるわけでもないし。親戚だろうとね。」

嘘つけ、と内心思ったが黙っていた。

「あんたは特別よ。」

まるで僕の心を見透したように彼女は付け加えた。

「ところで、どんな感じなんですか?霊って?」

「どんな感じ?そりゃいろいろ。ほんと、いろいろ。でもどれも基本的にはさ、人間の思念の残りなわけよ。わかる?」

わかるわけがない。

「個人の何かの思いが霊になっちゃうわけよ。だから、その思いを知るのが大事なの。ね。」

「ただ…。」

「時々とんでもないのがある。私じゃどうしようもないのが。」

「例えば?」
と僕。

「聞きたいの?」

そう言って、みちかさんは僕に霊体験を語ってくれた。

 

 

みちかさんは知人に頼まれて北海道のK町にいくことになった。

そこには2年前ぐらいから原因不明の病に罹った14歳の少年が待っていた。

なんでも胸がずっと苦しいらしい。

医者の方でも原因がわからず、かといって命にかかわるほど危険というものでもないので、入院費用のことも考え、自宅療養を続けているとのことだった。

学校は気分がいい時にだけ行っているらしい。

 

「行ってみてびっくりしたのよ。ほんと。」
と彼女は興奮気味に言った。

「最初はさ、まあ私のような胡散くさい人間に頼んでくるくらいなんだから、当然霊がらみなのはわかってたけどさ。」

そこは、北海道地方に特有の屋根が三角に尖った普通の家だった。壁はクリーム色で屋根は赤い家。

その時には別段変な感じはしなかったと言う。

ところが、家に入ると、
「ウッ!」
という胸が押しつぶされる感じに襲われたらしい。

 

「知人に引き連れられて中に入ると、その母親が待ってたわけよ。当然だけどね。父親は仕事を休んだらしく、少年が寝ているベッドの前で正座してたわ。」

「で、挨拶して、『みちかです』と自己紹介したわけ。その時ちょっとピンと来たんだけどさ。ま、やりながしたの。」

何を?と聞く前に彼女は続けた。

「それで、いよいよ少年とご対面。案の定、何か黒っぽい服を来た人が少年の胸に乗っかっているのね。」

「その時、丁度父親はトイレに行くって下へ行ったのよ。変でしょ、これから除霊をするってのに。」

確かに変だ。

「で、よ~くその霊の顔を見たらさ…なんとその父親の顔してるじゃない!」

「予感はしてたけど、本当にびっくりしたわ。で、母親にちょっと事情を聞いたらさ、どうやら、その子は母親の連れ子らしいのね。『はは~ん。そういうわけか』って思ったの。」

「その母親は3年前にその父親と知り会って、再婚したんだって。で、2年前から胸が苦しくなったってことは、どうやら父親がその子を疎ましく思ったみたいね。」

なるほど。

「でも困ったことにさ、生霊ってのは私もその時初めてで、除霊したことないのよ。故人の霊なら問題ないんだけど。生きている場合はねえ。で、どうしようか考えてたらさ…」

 

「なんとその父親の生霊が突然っ!私の方すっごい形相で睨んで、私の胸を両手でこうぐ~って、押しつぶすようにし始めたのよ!」

「私、もう『うっ、うっ!』ってなって息できなくなって。苦しみながら『外だして、外だして!』って知人に言ったの。」

「で、連れ出して貰って、玄関出たらすぐ息できるようになって。」

「それで結局除霊はどうしたんですか?」

「諦めた。」

「えっ?」
「だって、父親が原因だなんて言えないし。言ったら家庭崩壊だよ?そりゃ息子はよくなるかもしれないけど。」

「そのままにしといたんですか?」

「ん。あの父親による思念も、いつも強いわけじゃないから、そのうちね。無くなるでしょ。なんかで。」

「いいかげんだな~。」

「だって、別に大金もらってやってるわけでもないし。壷売ってるわけでもないしさ。笑」

「ま、それは冗談として。生霊はね、取り扱いを間違えると本当に大変なことになる。当たり前だけどね、死んだ人よりね、生きている人のほうが思いが強いんだよ。」

その後、その少年の話を聞いたが、結局あの夫婦は離婚したとのこと。

それ以来、少年は胸の痛みが消えたそうだ。

でも、あの時一番怖かったのは、みちかさんの話の最後の部分だった。

 

「知人が私を外に連れ出そうとした時、知人は居間で父親を見たらしいんだけど…。」

「正座して両目見開いてこっちをが~って見てたって。机で右拳を震わせながらね。すごい顔してたって。」

「それ聞いて、生半可な霊よりぞ~っとしたわ。」

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