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天井裏に棲み着いていたオーソドックススタイルなゴースト

 2015.07.18     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 1034

これは友人に聞いたとかではなく、マジに俺自身が体験した話

バイトで知り合った友達が、引越しをするというので手伝った。
そいつは一人暮らしで荷物もそんなにないし、引越し先も、元の家から車で30分くらいの距離な上、俺もそいつも引越しの経験が有るので段取りは大体解っていたから、要領よく済ませることができた。
レンタカーを借り、朝から始めて夕方にはほとんど終わっていた。
その日はそいつの新居に泊まるつもりだったので、外で飯を食った帰りに酒を買ってきて、荷解きしたり駄弁ったりしてたが、昼間の疲れが出たのだろう、10時位にはかなり眠くなってきたので、2人とも雑魚寝ですぐに寝付いた。

夜中に天井からドタドタいう音で目を覚ましたが、眠かったのでまたすぐに眠りに落ちた。

 

3日後、そいつとバイトで一緒になったが(バイト先はシフト制なのだ)なんだか少し元気がない
まぁ、引越し自体は終わっても、その後手続きやら何やらで結構忙しいから、多少疲れてるのだろうと思い、仕事が終わった後で一緒に飯を食べに行った。新居はどうだ?と水を向けると、
「あの部屋さぁ…(暫し沈黙)…あー、まだ慣れてないなぁ。」
と、ちょっと変なお返事。
俺自身は枕が変わろうとベッドが変わろうとすぐ慣れる性格なのでこの返答に違和感を感じたわけだが、まあ性格なんて人それぞれだし、環境の変化に敏感な奴はたくさん知っている、こいつがそうだというのはちょっと意外だったけど、てな感じでその日は別れた。

 

さらに4日後、一緒に飯でも食おうと会って見たところ明らかに顔色が悪い、なんか有ったのかと尋ねると
「あの部屋、絶対ヤバイよ。最悪だ…。」
と、身内の不幸を語るときみたいに深刻な顔でため息を漏らす。
明らかに洒落や冗談ではない空気をつくっていたので、こちらも半信半疑ながら真剣に話を聞いてみると、天井裏を駆け回る音(そいつの部屋は2階建てのコーポの2階にありマス)に始まり、壁を引掻く様な音やら照明の紐が揺れたり、お皿がカタカタ鳴ったり、ボソボソと独り言のような声が聞こえたり、もう絶対にお化けの仕業だと言い切ってはばからない。

オレの方はというと、話を聞いた限りではどれもこれもなんだか微妙な感じだなぁ、えらいオーソドックススタイルなゴーストだなオイ、てな感じで最初のほうこそ友人の真剣な様子に押されまじめに話を聞いていたのが、詳しい話を聞くにつれねずみの足音って結構大きいらしいよ、とかもう全然信じてませんよモード丸出しの受け答えばっかりするようになっていた。

それが癪に障ったのか、そんなら家に来てみろ!と言われ、特に用事も無かったのでそのままそいつの家に泊まる事になった。

そいつの家に着いてから、軽く酒でも飲みながらテレビ見たり駄弁ったりして何と言うことも無くすごしていたが夜が更けゆくにつれそいつはソワソワして明らかに怯えた様子。

夜中の1時を過ぎたころだろうか、突然天井からドタドタと言う足音が!
確かにかなり大きな音で、ちょうど子供が天井裏を走り回っているように聞こえる。
正直かなり驚いた。
ハハハ、結構でかいねずみなんじゃねえの?と、俺が言い終わらないうちに今度はどこからかボソボソと独り言みたいな声が聞こえてくる!
しかもよく耳を澄ましてみると、その声は部屋のまん満中あたりから聞こえてきてる!

しかもかなり聞き取り辛いが、どうやら誰かを探しているご様子。
「(ボソボソ…)どこいった(ボソボソ…)ドコイッタ…」
と身の毛もよだつ様な恐ろしく低い声で、ブツブツ言い続けてらっしゃる!

その声が聞こえてきたと同時に照明の紐が揺れだした。
いやいや揺れてるなんてもんじゃねぇ!
まるで指先で紐の先をハジいてるみたいに、ピッコンピッコン跳ねている!

その後もカリカリと壁を“部屋の内側から”(←これ大事なポイント)引掻く音がずっと続いたり(このとき独り言は止んだり聞こえたりの状態)、ゴッゴッと壁に何か(見えないけど、たぶん頭…)を打ち付けるような音が響いたり。

オレは部屋の隅に突っ立ったまま固まっていた。
想像してた状況をはるかに超えてんだもの!

この部屋の中に、姿は見えないけど確かに誰かいる。姿は見えないけど。
しかも何か(誰か?)を探していて、でも見つからなくて、かなりイライラしている様だ。姿は見えないけど。はっきりそれが解る。スガタハミエナイケド。

しばらくして音は止み、紐も動かなくなった。それでもオレは固まったまんま。
目だけキョロキョロ。部屋の中を舐めるように眺め回し続けていた。
今にもソレがまた出てくるんじゃないか、と身構えて体ガチガチ。固まったまんま。

 

友人が
「な?マジだったろ?」
とボソリと言った。異議なし。マジです、これはマジでやばいです。
その後、ファミレスに緊急避難。言ってはいけないとわかっていたけど、ついポロリと本音が出た
「お前良く1週間もあんなトコにいたな。」
「いや、最初はそんなに酷くなかったんだけどな、だんだん酷くなってきてんだよ、イライラが。」

友人は、すぐにでもあの部屋を出たいといった。そりゃそうだろう、でも金が無い。
気の毒だとは思うが、オレも生憎と金を貸せるほど余裕は無かった。
そう言うと
「いや、金は自分で稼ぐ。頼みたいのはソレじゃない」
と言う。

話を聞くと、夜家に居たくないのでコンビニの深夜勤務のバイトをはじめることにしたそうだ、
「昼間だけだったら我慢できると思ってたんだが…」
どうもだんだん酷くなってるようで、あの部屋に居るといつ出てきてもおかしくない気がして恐ろしい、眠れない、そこで昼間だけでいいから俺のうちで寝させてほしい。ということだった。
もちろんオレも一人暮らしだし、昼間は大体家を空けるから何の不都合も無い、しかもあんな体験をした後だ、二つ返事でオッケーした。

「でもさ、まだ入居して1週間だろ?不動産屋に文句言えば別の部屋探してくれたり、全額じゃなくっても少しくらい金戻ってくるんじゃねえか?」
と言ってみた。

あれだけ強烈にはっきりと、得体の知れないものがお出ましになっているのだ、確実にあの部屋で何か事故が起こっているはずだ、そういうのは新しい入居者には告知しとかなきゃいけないと言うような話を聞いたことがあるからだ。

「3日前に不動産屋には言った、大家のところにも行ってみた」

あの部屋で誰かが死んだとか何か事故が起こったことは今まで一度も無い、変な事を言って来たのも友人が始めてだ、とかなり不審がられたそうだ。

「出てくのはかまわないが、契約書にも有るとおり、退去の1ヶ月前までには出て行くことを伝えないといけない決まりだから、来月の分の家賃は払ってもらうときっぱり言われた」
と、忌々しそうに友人は答えた。
何かを隠しているようにも見えなかったと言う。

「それに、もし何かあったとしても、知りたいとは思わない」
と友人は言った。
それはなんとなく解る気がする、実際のところあそこで何があったのか突き止めようとか、坊さんとか霊能者みたいな奴を呼んで御払いをしてもらおうとか言う考えは露ほども起きなかった。

とにかくかかわり合いになりたくない、できるだけ早く縁を切って、記憶からも消去してしまいたい、きっとそういう気持ちなんだろう。気持ちは良くわかる。

そして実際アレはそんくらいヤバイものだ、それは確実だ。

 

それから友人は働きまくり、2ヶ月ほどで30万近くためた。
昼間俺のうちで寝る以外はずっとバイトをしていた。

その間、あの部屋に服なんかを取りに戻ったとき(当然昼間)、家にあった食器が、すべて粉々になっていたのを発見したり、大家から電話がかかってきて、“夜中に”わめいたり暴れたりするのをやめろと言われたりしたみたいだが、あまり気にしないように勤め、黙々と働き続けた。(事情を知ってるオレにだけは、報告みたいな感じで教えてくれた)

当然かなりやつれたが、金が貯まったときはほんとにうれしそうだった。

引越しの日、当然今度も俺が手伝うことになった。
今回は確実に、日の光のあるうちに引越しを済まさなければいけない、もう一人に声をかけ手伝ってもらうことにし、(友人Bとでも呼んでおこうか、こいつはその部屋の話は何も知らない)前以上に段取り良く、要領良くすすめ、昼過ぎにはほぼ終わらせることができた。

引越し先の家から、件の部屋に戻り、不動産屋と大家の立会いの時間まで部屋を掃除していた、1Kの部屋に3人がかりだったので掃除はすぐに終わった。

 

ここでオレに魔が差した。

 

2ヶ月が経ちあの恐怖が薄れていたのだろうか、3人居るから気が大きくなったのか、それとも明るい太陽のせいか。
お札だの、不自然な髪の毛の束だの、血の染みだの…原因となったものが何か無いか探してみようと思ってしまったのだ。
友人もしぶしぶ付き合ってくれた。
引越しの住んだガランとした1K、探すような場所はそう多くない。

押入れ、天袋、さらには畳を一枚一枚持ち上げてまでチェックしたが、何も無い。(友人Bには意味がわからないまま手伝わせた)

最後に天袋の隅っこにあったはめ込み式の板をはずして、天井裏を覗いてみることにした。

しかし、いくら昼間とはいえきっと天井裏は真っ暗な闇が広がっているに違いない、それを想像すると、あの夜の恐怖がよみがえりさすがにちょっと腰が引ける。

そういう訳であるから、ここは何も知らない友人Bの出番ではなかろうか、と考えた私は友人Bに懐中電灯を持たせ、天井裏を覗いて貰った。幸い、童心あふれるB君は嬉々として引き受けてくれた。

 

 

「へー、天井裏ってこーなってんのカー、んー、別に何もねーぞ?ん?あっ!待って、なんかあった、なんだろあれ?」
そう言うとBは天井裏の奥まで入っていってしまった。にわかに不安になる俺と友人。

そして戻ってきたBの手にしていたもの…それは…

“位牌”

そうです、あの位牌です。仏壇においてある、あの位牌です。
位牌は仏壇に置くものです、天井裏に置くものではありません。
でも有ったんです、天井裏に。位牌が。

B君の手にしている、埃まみれのそのブツを見つめたまま、3人とも凍りついてしまった。
元気があれば何でもできるB君も、さすがに元気を無くしていた。

どのくらい固まっていたのだろうか。とりあえずこれは、ちょっと本気でヤバイなぁ…、と考えるくらいの冷静さを取り戻し、未だ呆けたようにぢっと手を見るB君に、とりあえずその物体から手を離してみてはどうか、と提案してみた。

そして、B君がその位牌を床に置いた瞬間!

 

ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタッ…!!!!!

 

天井裏を、狂ったように駆け回る音が、がらんどうの部屋に響き渡った…!!!

全身の毛が、総毛立った。転がるように、外にまろび出た。Bも慌ててついて来た。
外に出て、太陽の光に包まれてもなお、オレと友人の肝は冷えたままだった。
藪を突っついたら、蛇が出てきた。激しく後悔した。

その後やってきた不動産屋と大家に、友人は食って掛かったが、不動産屋と大家は、最初は相手にしなかった。
それどころか、友人に変なものを持ってきて因縁をつけるな、みたいな言い方をした。

どうやら友人を、相当胡散臭い奴だと思っているようだった。
しかしオレと友人Bが援護して、ようやっと友人の言い分を信じたようだ。

この物件で、過去に事故は起きていない、それは本当だ、しかし友人のすぐ前の入居者だった人は、家賃を滞納して行方をくらましていたそうだ。
このご時世で、そういうことは稀にあるし、そんなことを次の入居者に報告しておく義務は無いので、言ってなかったが。
ひょっとしたらその人が置いていったのかもしれない、等と言った。

結局その位牌は、大家が預かって、お寺かどっかで供養してもらうことになり、その部屋も一応御払いしてもらうことにすると言っていた。

 

友人はその後、新しい家で何事も無く暮らしている。夜もぐっすり眠れているようだ。
オレにも別に、特に変わったことは起きていない。
しかしあの夜のことを夜中に思い出したりすると、ちょっと寝つきが悪くなる。

以上、オレの体験した怖い話でした。

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