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人間では無い存在しゅっちょさん

この記事の所要時間: 241

当時、オレは親父の友人の下で配管工の手伝いをバイトでやらされていたんですが、その現場で仲良くなった同年代のKのアパートに遊びに行った時の出来事です。

まあ、今は縁を切って会わないことにしてるんですが、Kはすっごいおもろい奴で半引き篭もり気味だったオレは毎晩Kのアパートで飲んだりする事が楽しくて、仕事の後にKの家に遊びに行くのが日課となっていました。

そんなある晩のこと、オレとKはいつもの様に仕事帰りにコンビニで酒とおつまみを買った後、雑談を交わしながら夜道をKのアパートに向かって歩いていると、突然Kが背後を振り返りました。

不思議に思ったオレが
「どうかしたんか?」
と尋ねると

Kは
「…いや、なんでもない、ところで―」
とこっちに向き直り、再びオレらは雑談を交わしながらKのアパートに歩き始めました。

 

今思うと、この時すでにKはアレの存在に気づいていたのかもしれません。

Kのアパートに着いたオレらは早速酒を交わし、テレビを見ながら床に寝っ転がって談笑をしながら時を過ごして、気がつけば夜中の2時になっていました。

明日は、午後からキツイ仕事が待っていると仕事先の監督に言われてたのを思い出したオレは、おいとましようかなと立ちあがると、Kが酔っ払って赤くなった面持ちで言うのです。

「もう少しいとけって、なんなら泊ってってもかまわん。」

Kがこんなことを言うのも珍しいと思ったその時、アパートの階段が静かに軋む音が聞こえてきました。

すると、突然Kが一瞬にして酔いが醒めたかの様に立ちあがり
「来おった…しゅっちょさんや」
と呟いて、窓を閉め鍵をかけるとドアの鍵がかかっているか確認し、

オレの隣に来て
「いいか、何を言われてもそれに答えたらあかんぞ?」
と言ってきました。

なにが起きたのかさっぱりわからなかったオレは、少し慌てながら
「なんや?『しゅっちょさん』って誰や!?」
と返したのですがKはそれに答えず、不動のままドアを睨みつけていました。

すると、静かにドアを叩く音が鳴り、ドアの向こうから声が聞こえてきました。

 

「ねぇー、今から遊ばなーい?」

「ねぇー、遊ぼーよぉー」

「ねぇ、いいじゃんかよぉ!俺今暇なんだよ」

そして、ドアノブをガチャガチャと乱暴に回しはじめました。

Kは震えながら小声で
「すいません、すいません」
と繰りかえしていました。

オレは何もできませんでした。

すると、声の主は大声でこう叫んだのです。

「*******!!********!!!」

恐らく放送禁止用語なのだろうと思いますが、その大半は良く聞き取れませんでした。

 

次の日の朝、Kは『しゅっちょさん』が帰ったのを確認すると、オレの手を引いて近所の神社に向かいました。

神主さんは、オレとKに粗塩をかけながらこう言いました。

「また来おったんか、もはやアレは人間では無いから相手にするな。」

その後、オレはKに送られて自宅に帰りました。

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