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夜の少々不気味な田舎町の農道を自動車で通り抜ける際に待ってと言いながら追いかけてきた少女

 2015.08.11     恐怖体験談     コメントを書く     Loadingお気に入りに追加
この記事の所要時間: 332

四年程前になるが、関東某県の田舎町での出来事。

会社からの帰路、俺はいつも決まった農道を使っていた。

畑がしばらく続き、密集した民家が立ち並び、また畑とがあり、その道を抜けていくと国道につながる大通りに出る。

ただ、夜の農道は照明も少ないので少々不気味。

無論明るい他のルートもあるのだが、農道を通り抜けたほうが断然近道なので、あえてその道を使っていた。

コンビニに寄る用事などがない限りは。

その日も仕事を終えて、俺は農道を走っていた。

時刻は夜の十時半頃。

大概の農道に言える事だが、その近道の難点は、道幅が狭い事。

畑と畑の間の土手に、道路を敷いた感じで、ガードレールも民家付近にしか無い。

大型車は進入禁止だが、4トン車レベルの対向車が来たときには、結構難儀する狭さだ。

だから近道ではあるが、通るときはせいぜい40キロ位で走っていた。

 

住宅地から畑に差し掛かった時、車の右側から声が聞こえた。

「待って」

若い女というより、女の子のような声。

窓は閉め切っていたのにもかかわらず、はっきり聞こえた。

びっくりしてミラー越しに右後ろを見るが、それらしい人は見えない。

前後に車も見えなかったので、俺は減速して車を停めた。

振り返ってみる。

でも、誰も居ない。

何となく薄気味悪くなって俺は車を走りださせた。

すると、また声が。

「待って、待って」

更に足音まで聞こえた。

パタパタと走る音。

後ろから聞こえてくる。

バックミラーを見ると、子供の姿が見えた。

ちょうど数少ない街灯の脇を通った辺りだったので、それを判別できた。

赤いゆったりした服、パーカーかトレーナーかを着ていて、長い髪が揺れていた。

女の子のようだった。

必死に叫びながら車を追い掛けてくる。

どうしたのだろうと車を停めようとして、俺は固まった。

車は40キロで走っているのに、少女はぴったりと付いてきていた。

 

加速した。

ちょうど民家の辺りは道がくねっているので、危ないとは思ったが、それどころではなかった。

近づいてきていた。

ミラーを見ると、すぐ後ろに居た。

赤い服だと思っていたが、そうではなかった。

元は白かったのだろう。

女の子の顔は血まみれで、その血が服にしみ込んでいた。

パーカーの胸から上辺りは真っ赤だった。

何キロ出したか覚えていないが、相当危険な運転をしていたと思う。

女の子は息も切らさずに、ぴったり付いてくる。

「待って、待って」

そればかり言いながら。

早く大通りに。

人が居る場所に出られれば。

そして、あと一息で大通りにでるといったところで、急に後ろの気配が消えた。

俺は一気に最後の上り坂を上った。

信号は赤で、目の前には車がバンバン走っていた。

急ブレーキを踏んで停まった。

停止線を大きくはみだしたが、幸い事故は起こさなかった。

はあ、と安心した瞬間。

バタンと助手席のドアが閉まった。

開いた時の音は聞こえなかったのに。

助手席を見ても、後部座席を見ても誰も居なかった。

ただ、車の中が異様に寒くなっていた。

怖さを紛らわす為に、携帯で彼女に電話をした。

 

彼女が出た。

俺は少し安心して、会話を始めた。

彼女がかなりの恐がりなので、その出来事には触れずに、できるだけ馬鹿な話をした。

話の途中で雑音が入った。

彼女では無い、女の子の声が聞こえた。

何を言っているのかは分からなかったが、ぶつぶつと声は続いた。

「何か音悪いね」
と彼女が言った瞬間、すごい笑い声が聞こえた。

女の子の声で。

その後、どう帰宅したかは覚えていない。

その後は、女の子らしきものも見ていない。

車は少しした後、あちこちが故障したので廃車。

俺は今のところ健康。

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